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  • 執筆者の写真大塚信一

上映延期の件について

5月2日より新宿ksシネマにて上映予定だった『横須賀綺譚』は公開延期となりました。何もかも初めてで、手探りだった宣伝活動も「バツン」と切断され、残念やら悔しいやら、の気持ちもわかず、世の中のSFのような展開をボーッと見ている状態です。ラーメン屋の仕事も自粛要請を受け、時短勤務となり暇です。近所のでかい公園で、4歳になる息子に自転車を教えました。緊急事態宣言が出た日に乗れるようになりました。

乗れるようになった息子は「ママー」と叫んで母親の元に駆け寄り、自転車に乗る自分を自慢します。「映画を撮ったよ」と見せる相手を失った父は、苦笑いを浮かべるしかなかったです。とりたてて意味のあるエピソードではありません。ただこの非日常の中にも、とりとめもない日常は存在する。父は初めて自転車に乗った息子の後ろ姿を忘れられなくなりそうです。





映画もK`Sシネマからは「必ず上映する」と力強い約束をいただき、感謝しかありません。しかし、このコロナが長引けばk`sシネマは潰れるかもしれません。そうなれば公開は厳しくなるでしょう。ラーメン屋の仕事も、経営は逼迫してきます。そうなればこの日常もあっという間に崩れるでしょう。すべてリアルです。平穏な公園の情景、自転車に乗って喜ぶ息子の後ろ姿。それが一瞬で崩れ去るのをありありと感じることが出来ます。

そして、どうしてもこの「コロナ騒動」を映画にしたいとは思えません。すべてがあまりにリアルだからです。僕たちが住む国は(いや、世界中か)今よりずっと悪くひどい場所になることは、明瞭です。そこに想像力を働かせる隙間はありません。


すべては悪くなる。そのことを前提にして生きていきます。皆さんのご多幸を心より祈ります。まずは生き抜いて、劇場で笑ってお目にかかれることを願います。

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